別の顔

またあのひとではない、実在のだれでもない女性との距離を詰める夢を見た。偶然街ですれ違ったとき、おれを認識する一瞬前の、何も見ていない表情におれとおなじ悲しみを認めたのだ。それまでただの知人だったそのひとを、すこし特別だと思って、初めて個人的に会う約束をとりつけようと考えたところで、夢は終わった。
おれはあのひとへの、こちらから送るものとしてはおそらく最後のメールに、自分はたぶん婚活をすると書いた。あのひとにほんとうに幸せになってもらうためには、おれも幸せにならなければいけないのではないかと考えたからだ。それが婚活という道によって開けるものなのかはわからないが、実際にいつかチャレンジはしなければいけないのかもしれないな、と思う。