あのひとと別れてからも何度かメールを送ったけど、いまのところ最後に送ったメールで、おれはひとつ嘘をついている。あのひとといっしょに過ごすよろこびを知って、自分はひとりでは生きられないと初めて思った、という部分で、それは一般に「ひとりでは生きられない」という意味になるように書いたけど、そうじゃなかった。あのひとといっしょでなければ生きられない、そう思ったということだ。ふたりで過ごす幸せな時間におれは依存していたのだと思う。ひとりだから寂しいのではなく、あのひとがいないから寂しいのだ。
でもわからなくなったのは子どもをもつことについてだ。おれは未来に希望をもてないのに子どもをつくるべきではないと考えていた。でも強く子どもを望むあのひとと真剣に交際することを考えたとき、愛するひとと子を育てることを夢みてしまった。いまは、自分が子どもをほしいのか、ただあのひととの子どもがほしかったのか、わからない。それがわからないままでは、別のだれかと過ごす人生を考えるのは相当むずかしいと思うのだった。