上を向いて歩こう

朝会社に行くとき、昼メシから仕事に戻るとき、夜家に帰るとき、ひとりで歩いているとどうしてもあのひとのことが頭に浮かび、自分の弱さ、情けなさに涙が出てくる。この歳になって泣きながら歩いているところをだれかに見られたくないから、正面から顔を見られないように上を向く。朝も昼も夜もひとりぼっちだ。
自分を選んでくれなかったあのひとを、嫌いになれたらどんなに楽だろう。まだ好きだし、いっしょにいたときはもっと好きだった。でもそう考えたら、いつかあのひとのことを考えなくなる日がくるのだろうか。