選ばれなかったぼくらでも

短時間の睡眠で目が覚めてしまったのだが、起きる直前に見てた夢のなかで、知らないアイドルが「もっといい恋を探すのはだれにも邪魔されるようなことじゃないよ」と歌ってたことが刺さっている。恋とは違ったかもしれないけれど、おれはあのひとの「もっと」になれなかった。おれ自身では、その時点ではどうにもできないことが理由で選ばれないことはなによりも苦しかったけど、ほんとうはそれだけが理由ってわけじゃなかったんだろうとも思う。学生時代にU山くんが言っていた、「英文科に来るような女の子が英文科の男を選ばない。自分が当然だと思ってる生活の水準を落とすことは選択肢に入らない」という言葉を、おれはもっと真剣に考えるべきだったのだろう。あのひとは英文科じゃなかったけど、選んでもらおうとするならおれには別の生き方があったし、それはもしかしたらおれが人生のある時点までは自分でも望んでいた生き方だったかもしれないのだ。