いちばんの後悔は

今朝起きて最初に頭に浮かんだイメージは、あのひとの手を握っている顔のないだれかのシルエットだった。コロナ禍が本格化したとき、あのひとと会おうとしなかった理由のなかには、あのひとやあのひとの家族に迷惑をかけたくないという思いが大きくあった。でもいつのまにかそれが、「会いたい」を拒否されることをこわがり、あのひとに連絡しないことの言い訳になっていたのかもしれない。おれがあのひとに近づかなかった時間に、あのひとに近づけるほどの信頼を獲得した人間がいたのだと知ったとき、おれはなぜ、それが自分でなかったのかと、自分がその人間になるように動かなかったのかと、後悔し絶望した。