「自己肯定感」という幻想

おれは基本的に自分で自分のことをおもしろいと思っていたし、自分以外のだれかになりたいなんて思ったことはなかった。でも自分以外のだれかがあのひとといっしょにいると思うと、そのだれかになれるものならなりたいと思う。以前ならばきっと、たとえ愛するひとといっしょだとしても、自分でないだれかとして存在するならそんなのは意味がないと思っていただろう。でもいまは、そこまでしてしがみつくような自分なんてあるのか? という気持ちが生まれてきている。生きることの自分にとっての意味が、完全に変わってしまっている。