外道の歌

昨日は昼寝から起きたあと漫画喫茶へ行ってだらだらした。『善悪の屑』『外道の歌』を主に読んでいたのだが、『外道の歌』に出てくる、人間はほんとうに絶望したとき呼吸ができなくなる、というカモの述懐を読んだとき、ああ、このひとは知っているひとなのだな、と思った。あのひとがおれでないだれかをすでに選んでいるのだと知ったあの朝、おれは何が起こったのかわからないまま呼吸が粗くなり、閑散とした朝の会社の執務フロアから出てトイレでしばらく放心していた。それこそが、おれが人生で唯一ほんとうに絶望したときの身体的反応だった。