記憶

昨夜は黒田硫黄大日本天狗党絵詞』のことを考えていた。第一話で、なんでも遣るからほしいものを言えと言われたシノブがいらない、ないものだから、と答える場面はおれが忘れられないもののひとつだ。おそらくはこの「忘れられない」という機能が問題で、だれかにとっての自分は「自分」でなくてもいいとわかってしまったことから、シノブは逃げられない。あのひとにとって、おれはおれでなくともよかったのか。その答えを訊くことはできないけど、かなりの確率でそうだったろうという絶望を抱えて生きてくしかない。