ふたり歩いてゆくはずでした

杉田協士監督『春原さんのうた』をポレポレ東中野で観る。『偶然と想像』が、ひととひとがためらわずに言葉をかわすことのできるパラレルワールドの現在を描いていたとしたら、『春原さんのうた』はためらいがちに言葉をかわす現在のリアルを映した映画と言えるかもしれない。おそらくはおれよりはるかに大きな喪失のなかにいるのであろう沙知だけど、ためらわずともに食事できるひとのいることを、とてもうらやましいと思いながら観た。