冬はつとめて

自炊をするために台所に立つと、あのひとのことを思い出す。別れをほぼ決意したあとに、どんな気持ちでおれにメシを食わせてくれたんだろうか。寒い冬の朝、調理をするなかでだんだんとあたたかくなっていく台所でおれを思ってくれていたんだろうか。そのことへの感謝を、ただ伝えておくべきだった。