ぼくは電話をかけている

電話だとレイモンド・カーヴァーで、電話でなく手紙だと奥田民生になる言葉。昨夜実家の母親と電話してひとしきり話したあと、電話を切ったとき、唐突にあのひとの電話の切り方を思い出した。おれはあのひとの声がとても好きだったからよく電話をしたが、あのひとは用件が終わると「ばいばい」とひらがなで言ってその瞬間余韻もなにもなくすぐ切るのだった。最初はあまりにも意外でびっくりして笑っちゃっていたのだが、その切り方をされるとすごく会いたくなることにもだんだんと気づいていった。もうあの声を聞くことはできない。